YCU地震学レポートNo.17                                 Nov.15,92

      11月 8日 神  奈  川  県  北  部 、
         12日 山  梨  県 、
         14日 箱  根  近  く   の  地  震  の  解  析 


ここ1週間の間に、神奈川県と山梨県で浅い地震が起こりました。いずれも 規模はM3〜4程度の小さい地震ですが、震源の近くに観測点があったため、 波形解析によって震源パラメタを決めることができました。 解析した地震の震源情報は以下の通りです。 No Date h:m もよりの地名 震 央 深さ M 出典 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 11/08 08:07 神奈川県 35.52N 139.10E 20km 4.2 ERI,JMA(M) 2 11/12 12:38 山梨県 35.47N 138.90E 17km 3.6 ERI,JMA(M) 3 11/14 03:58 箱根 35.18N 139.10E 10km 3.6 NIED <解析結果> (個々の結果については各Noをクリックして下さい) (1) 震央近くのSGNのP波が、節面上の様相を呈して複雑な波形をしていま す。ここでは、断層メカニズム解の異なる2個のサブイベントを抽出しまし た。2つ目の震源の位置が北寄り200m付近に求まります。このことから 低傾斜角の節面が断層面と推定されます。スリップはほぼ北向きです。 (2) 2つのP波節面のどちらが断層面か判定しかねますが、低傾斜角の節面を 断層面とすればスリップは北西方向、急傾斜面を断層面とすると、北落ちと なります。この辺は意見の分かれるところと思います。 (3) 震源の位置とメカニズム解から見て、フィリピン海プレート上面のプレー ト境界地震と思われます。すなわち低傾斜角の節面が断層面で、スリップは ほぼ北向きです。 この付近では1990年8月にM5.1の地震が起こっています。また本年7 月16日にM2クラスの地震が連発しています(YCU變澎13Q照)。今後の 成り行きが注目されます。 メカニズム Mo Mw τ Mo/τ**3 テクトニクス (str,dip,sl) dyn.cm s −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1 (325,41,167) 4.8e21 3.7 0.30 normal (2) EUR/PHS境界 a ( 76,81, 58) 3.2e21 0.20 high (4) subevent b (317,60,172) 2.0e21 0.20 subevent 2 ( 40,76, 66) 9.7e20 3.3 0.15 high (3) PHS(?)上部 3 ( 76,70,104) 2.9e21 3.6 0.20 high (4) EUR/PHS境界