YCU地震学レポートNo.9 May 25, 1992
1992年5月20日 東京湾(M=4.6)のMT解析
5月20日17時24分(JST)に南関東地方で有感の地震が観測されました。
気象庁によると震源は
35.2N 139.8E 深さ90km M=4.6
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と報告されており,本年2月2日に発生した地震(M=5.7)と同じ場所です。
おそらく余震活動の1つと解釈されるものでしょう。
それを確かめるため波形解析を行ないMT解の推定を試みました。データはSTS
2型のVBB記録(20Hzサンプリング)の初動から表面波部分を含む約20秒間
を用いました。単純な震源関数を仮定するため周期2秒でHIGH-CUTした後インバージ
ョンを行ないました。Fig.1に観測波形と合成波形を比較してあります。
震源がネット内にあり,また深さ90kmとやや深いことから解析も安定して行なわ
れていることが分かります。
MT解をFig.2に示します。併せて2月2日の本震(M=5.7)と2月3日
の余震(M=4.0)も示します(YCU地震レポNo.5参照)。今回の地震も本
震同様,南北走向の縦ずれ断層(東落ち込み)と推定されます。地震モーメントは
1.2x10**23dyn.cm (Mw=4.7)でほぼ妥当な値です。MT解からもこの地震
が余震の1つと考えるのが適当です。
今回は詳しく解析していませんが,この地震の発生約1秒前にトリガーイベント(?)
らしき波形が認められます(Fig.3)。このイベント自体かなり小さいのでYCU
ネットの記録では解析は難しいと思われますが,微小地震観測ネットなどの記録で詳し
く調べるとおもしろいことがわかるかもしれません。
(Y.I.)