YCU地震学レポートNo.8                                  May 13,92

          5月11日  茨城県中部の地震  解析速報


5月11日午後7時ごろ,関東地方を中心に地震がありました。気象庁の速報によ ると,水戸で震度�犬覆鼻�震源地は茨城県中部(36.5N,140.6E),深さは50km,マグ ニチュードは 5.5でした。東海村の原子力研究所では,試験研究用の原子炉の一つが 自動停止したとのことです。防災科技研によるP波初動解を図1に示します。
この地震の震源地は,地震の巣の一つである茨城県南西部よりは,明らかに東寄り で,防災科技研による微小地震データを見ると,むしろ「地震の空白域」のように見 えます。 ネットワークで得られた広帯域地震記録そのものは,比較的,質の良いものでした が,震源からの波線がほぼ真横に近いため,波線理論近似が適用できるかどうか,微 妙なところです。ここではとにかく直達P波と直達S波の初動付近を用いて,インバ ージョンを行なってみました。 図2及び表1に結果を示します。要点は以下の通りです。

断層メカニズム解=鉛直縦ずれ断層
    (走向,傾斜,すべり角)=(146°,85°,72°)
地震モーメントMo=1.0×10**24dyn.cm Mw=5.3
破壊継続時間(パルス幅) τ=2.0 sec

  メカニズム解は,防災科技研のP波初動解とほぼ同じです。またパルス幅は,Mo-τ
の平均的関係から予想される値より,やや大きめ,したがって,応力降下はやや小さ
めです。
  さて,この地震のテクトニクな意味はどう解釈されるのでしょうか。震源の位置と
深さから判断すると,潜り込んだフィリピン海プレートの東縁底面付近の断層と思わ
れます。図3に,やや苦しまぎれの漫画を書きました。
  防災科技研の微小地震データによりますと,この付近で,今回の地震と似たような
鉛直縦ずれ断層がいくつか見られますので,それなりのテクトニクな意味をもってい
ると思われます。系統的に調べてみる必要がありそうです。