YCU地震学レポートNo.7                                  Apr.15,92

         4月10日東京東部,14日  茨城南西部の地震  解析速報


今回は,上記の2つの地震の解析速報を送ります。図1に,防災科学技術研 究所の微小地震観測網による震源地とメカニズム解を示します。 (1)4月10日東京都東部
4月10日深夜(11時半ごろ),関東南部で小さい地震がありました。気 象庁の速報によると,東京、横浜などで震度�掘た霧暫呂賄豕�都区部,深さ80 kmで,マグニチュードは4.6でした。 この地震の震源地は,昨年11月19日の東京湾直下の地震(高い応力降下 を伴った地震,YCUノート#4参照)に近く,何等かの関連性があるのでは ないかとの期待のもとに,広帯域地震記録の解析を行いました。  図2に結果を示します。TKOはP波初動の節面に近く,上下動は落ち着き ません。細かく見れば,おそらくは,メカニズムの変化を伴ったマルチプルシ ョックと思われます。結果の要点は以下の通りです。
断層メカニズム解=横ずれ断層
   (走向,傾斜,すべり角)=(339°,62°,175°)
地震モーメントMo=1.3×10**23dyn.cm Mw=4.7
破壊継続時間(パルス幅) τ=0.30 sec
  この地震のテクトニクスについては,(単なる”例外的なメカニズム”とい
う解釈も含めて)いろいろと意見の分れるところですが,1つの可能性を図3
に模式的に示します。要するに,フィリピン海プレート内の底面近くで起こっ
た断層運動であること,断層面は北北西−南南東の走向をもつ急傾斜面で,東
側は太平洋プレートとの接触ですべりにくいため,西側が相対的に北北西へず
れた,というものです。石田さんの論文(JGR 97,489-513,1992)で,”E”タ
イプの地震の可能性です。
  この付近のもう少し深いところで,1988年にM6クラスの地震が起こってい
ます。これを調べるともう少し賢いことがわかるかも知れません。

(2)4月14日茨城県南西部
  4月14日昼(ちょうど12時ごろ)関東地方の広い範囲で地震を感じまし
た。水戸で震度�犬里曚�,東京,宇都宮などで震度�靴任靴拭�さっそく気象庁
に電話で問合わせたところ,震源地は茨城県南西部(北緯36.2,東経139.8),
深さ70km,マグニチュード5.0とのことでした。
  その後石田さんに聞いたところ,震源の深さはもっとずっと浅く,55kmとの
ことでした。この辺の深さの違いは,Ray theory近似のインバージョンプログ
ラムが使えるかどうかに係わってきますので,やや深刻です。ここでは防災科
学技術研究所の震源データを用いました。この場合,Ray theory近似はごく初
動部分にしか適用できないので,最初の2秒間だけを使いました。
  結果を図4に示します。HKYはほぼP波の節面上にあり,図の観測波形は
ノイズ(脈動)です。結果の要点は以下の通りです。


断層メカニズム解=低角逆断層(東西走向の断層面)
    (走向,傾斜,すべり角)=(39°,64°,73°)
地震モーメントMo=4.1×10**23dyn.cm Mw=5.0
破壊継続時間(パルス幅) τ=0.50 sec
この地震の解釈は,「フィリピン海プレートの日本列島下へのもぐり込み」と
いうことで,大方の一致するところと思われます。