YCU地震学レポートNo.5                                  Feb.3,92

              2月2日  浦賀水道の地震  解析速報


さる2月2日未明,関東から東北にかけてかなりの地震がありました。東京 では1987年の千葉東方沖地震以来の震度�垢魑�録しました。前日の大雪に 続き,首都圏はダブルパンチをくらいました。東京都の一部地域では,都市ガ スの安全装置がはたらいてガスが使えなくなり,その後,解除方法を問合わせ る電話が東京ガスに殺到したとのこと,ついにはテレビで解除方法が流されま した。 気象庁発表では,震源地は東京湾(浦賀水道,北緯35.20N 東経139.80E)で 深さは90km,マグニチュードはMJ=5.7でした(図1)。 当方では,さっそく,4観測点からダイヤルアップで地震記録を収集し,解 析を行いました。図2に,広帯域地震計記録(変位に変換)と強震計記録(加 速度)を示します。CHUでは,広帯域地震計の記録がついに振り切れてしま いました。他の記録と異なった振る舞をしているのはこのためです。 加速度記録から推定される各地の震度は次のとおりです。 CHU(千葉大学)震度�后ぃ截達奸焚I融埖隋某姪扠� HKY(温泉地学研)震度�検ぃ圍烹蓮聞眸�)震度�� 次に,図3にP波及びS波の初動付近6秒間のインバージョンの結果を示し ます。先の気象庁発表の震源の位置を基に,断層メカニズムと震源時間関数( 震源での破壊過程を示す)を求めました。得られた結果は


断層メカニズム解=東落ちの縦ずれ断層
    (走向,傾斜,すべり角)=(17.5°,89.8°,-61.0°)
破壊継続時間(パルス幅) τ=1.7[sec],
モーメントMo=6.6X10**24 [dynャm] Mw=5.8
でした。
  インバージョンにおいては,各観測点の表層地盤の影響を考慮しました。観
測波形(上)と理論波形(下)の振幅比(Syn/Obs)を見ると分りますが,前回
の解析(11/19/91の地震の解析)と較べると,今回はほぼ満足のいくものです。
結果や用いた地下構造などの詳細については,表1を参照してください。
  なお,P波の記録を注意深く見ると分りますが,今回の地震はマルチプルシ
ョックです。上で得た解の直前に小さいサブイベントが見えます。このメカニ
ズムは主破壊とは多少異なります(CHUが押し)。

  また,2月4日(本日)朝,顕著な余震がありました。上と同じ手法で解析
した結果を図4に示します。本震とほとんど同じメカニズムです。


断層メカニズム解=東落ちの縦ずれ断層
    (走向,傾斜,すべり角)=(199.0°,75.5°,109.2°)
破壊継続時間(パルス幅) τ=0.2[sec],
モーメントMo=1.6X10**22 [dynャm] Mw=4.0

  昨年11月19日の地震と今回の地震をまとめますと,図5のようになりま
す。前者は太平洋プレートの境界に沿った逆断層地震,後者はプレート内部の
圧縮タイプの地震と考えられます。この付近の応力がかなり急速にBuild-upさ
れている可能性があるのではないでしょうか。