YCU地震学レポートNo.2                                       9/9/91

              9月3日の本州南方沖の地震について


<速報> USGS(アメリカ地質調査所)の速報によると 震央:北緯33.8° 東経138.9° 深さ:normal 発震時刻:17:44:50.2 JST マグニチュード(mb):5.9 でした(防災科技研よりのFig.1参照)。当研究室では,電話により, VBB,3成分,4観測点,17:45:00より6分間 の記録を収録しました。変位波形をFig.2に示します。 横浜市立大学(YCU)と千葉大学(CHU)で,変位振幅が 1cmを超えていることが 分ります。これは,4月に稼動して以来,最大の振幅です。 <暫定的な解析結果> 4観測点,12個の記録のインバージョンにより,震源メカニズム,地震モーメ ント,破壊継続時間を求めました。観測点の分布がかなり偏っている (方位角=7〜28°)ため,メカニズムの分解能は必ずしもよくありません。 解析に用いた地下構造は3層モデル (Table-1)で,震源の深さは10kmと 仮定しました。(用いる地下構造に依存するので,断定的ではありません。 気象庁発表の深さ[新聞による]は40kmです。) 得られた震源パラメターは以下の通りです(Fig.3)。 地震モーメント=1.6x10**25dyn.cm (Mw=6.1) メカニズム=横ずれ断層:走向=314°,傾斜=75°,すべり角=-170° 破壊継続時間〜7秒 上のメカニズムは,防災科学技術研究所の微小地震ネットで決められたものと一 致しています(Fig.1のメカニズム図)。 <この地震の重要性> この地震は,「東海沖地震」との関連において重要と思われます。カリフォルニ ア工科大学の金森教授から,次のようなEメールが届いています。 The first motion mechanism (given by NIED) has the T-axis normal to the Suruga trench axis, which is consistent with Nakamura's (and some-one else's) bending model. If we believe Christensen and Ruff's model,one would expect this mechanism to change into the one with P axis normal to the trench axis before the next large Tokai event. ゥ (received on Sep.5,1991)