EIC地震学ノート No.64               Sep. 8, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ -----------------------------------------

   9月7日ギリシャの地震(Ms 5.6)

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● 概略・特徴: 9月7日午後3時(現地時間)ごろ、アテネの北を震源とする
浅い地震があり、死者30名を越える大きな被害がありました。USGSによる速報
震源は次の通りです。

   発生時刻           震央         深さ    Ms
 0907 11:56:50 (UT)   38.13°N  23.55°E    9 km   5.6 

● データ処理: IRIS-DMCの波形データを地震研究所の準リアルタイムサービス
(gopher)により収集、12点のP波上下動を用いました。

●結果:結果を図1に示します。主な震源パラメータ
は次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (131, 56, -79)
        北東南西引っ張りのほぼ純粋な正断層
 地震モーメント     Mo  =  5.9x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間      T  = 3 s
 深さ          H = 11 km

● 解釈その他:
 この地域では、今回と同じ型(正断層)で、規模も同程度(M6前後)の地震が
比較的多く発生しています。

 81年2月24日にアテネの西約50kmのコリンチアコス湾でMs6.7の地震
 その直後にMs6.4 の余震が2回、
 92年11月11日に湾の西側でMw6.0の地震、
 95年6月15日のエイオン市沖合(アテネの西150km)のMw6.2の地震

といった具合です。先月17日のトルコ大地震との因果関係は不明です。強いて言え
ば、トルコの地震によって今回の震源地に励起される応力場は、今回の地震を引き
起こした北東南西引っ張りとはちょうど逆センスのように見えます。
                               (文責:菊地・山中)