EIC地震学ノート No.59                  Apr. 6, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ---------------------------------------------------------

4月5日ニューブリテン島近海の地震(Ms7.0)

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● 概略・特徴: 4月5日11時7分(UT)ニューブリテン島近海で大地震が発生しました。
USGS(米国地質調査所)の速報(QED)によると、震源は浅く、かつ、規模が大きいので、
被害があったと推定されるとのこと。USGSによる震源諸元は次の通りです。

    発生時刻       震央      深さ   マグニチュード
 04/05 11:07:53 UT   5.31°S  149.84°E   normal   7.0 (Ms) 

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher)
により収集しました。解析には18地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。
観測点はやや北側に偏りがちです。グリーン関数の計算にあたっては、海洋性地殻(厚
さ10km)を用いました。

●結果:解析結果を図1に示します。主な震源パラメータは以下のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (96, 71, 70) / (325, 27, 135)
              北北東-南南西圧縮の逆断層型
 地震モーメント     Mo  =  1.4 x10**20 Nm  (Mw = 7.4)
  破壊継続時間      T  = 12 s 
 深さ(Centroid)      H = 156 km
 震央(再決定)   5.65°S, 149.73°E  (USGSの値より南へ39km、西へ13km)

● 解釈その他:ハーバード大学のCMT解、USGS解とも、北北東-南南西引張の正断層で
す。我々の解はちょうど極性が逆になります。また震源の深さも大きく異なります。
ハーバード解、USGS解とも50km弱であるのに対し、我々の解は150km余りです。この違
いが何に起因するか、目下検討中です。

(補足:99/04/22) その後まもなく、ハーバード大学、USGSから改訂版が出されました。
  その修正解は我々の解と調和的です。
                             (文責:菊地・山中)