EIC地震学ノート No.54                  Jan.27, 99

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂版99/01/28)◆ ------------------------------------

1月25日コロンビアの地震(Ms5.6)

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● 概略・特徴: 1月25日午後1時19分(現地時間)コロンビア中西部でM6ク
ラスの地震があり、キンディオ州の州都アルメニアで死者数百人を越える被害
があった模様です。USGS(米国地質調査所)による震源諸元は次の通りです。

  発生時刻       震央       深さ    マグニチュード
 18:19:18 UT    4.29°N  75.68°W   normal   5.6 (Ms) 5.8(mb)

● データ処理: IRIS-DMCのデータを地震研究所の準リアルタイムサービス (gopher)
により収集しました。解析には11地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いまし
た。観測点はやや偏っています。

●結果:解析結果を図1に示します。主な震源パラメータは以下のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (113,79,-174)/(22, 84, -12)
              北北西-南南東圧縮の横ずれ型
 地震モーメント     Mo  =  2.0 x10**18 Nm  (Mw = 6.1)
  破壊継続時間      T  = 3.0 s 
 深さ(Centroid)      H = 10+/-5 km
 断層面積(双方向破壊伝播を仮定)  L = 2x2.5km/sx2s = 10km
             S = LxL/2 = 5.0x10 km**2
 くいちがい        D = Mo/μS = 1.3 m   (μ=30 GPa)
 応力降下         Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 13 MPa

● 解釈その他:メカニズムは北北西-南南東圧縮の横ずれ型断層です。震源の深さが
5〜10kmと浅かったこと、応力降下が大きい(短周期の波が大きく出る)内陸型(プ
レート内)地震であったことが石造りの家の倒壊に結びついたと考えられます。
                            (文責:菊地・山中)

(改訂:99/01/25)京大のネルソンさんから震源域付近の構造データを頂きました。