東大震研情報センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------------
5月28日パキスタンの核実験(mb4.8)
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● 概略・特徴: 日本時間5月28日19時16分、パキスタンの西部バルチスタン 州で核実験が行なわれました。USGSによる震源諸元は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ マグニチュード 10:16:15 UT 28.96°N 64.73°E 0 km mb4.8 ● データ処理: IRIS-DMCのデータを準リアルタイムサービス (spyder) により収集 しました。解析には7地点の広帯域地震計記録(P波上下動)を用いました。 ●結果:単一の震源ではうまくモデル化できず、少なくとも2個以上の震源から成る ように見えます。とりあえず2個の震源を仮定し、等方成分(I)を含むモーメントテ ンソル(MT)のインバージョンを行いました。解析結果を図1に示します。MTは次の通 りです。 Mij = 10.7 -2.5 1.4 [x10**15 Nm] -2.5 6.7 -1.3 1.4 -1.3 3.8 (x1,x2,x3) = (North, East, Down) 主値M1,M2,M3、及び、等方成分Iは M1,M2,M3 = 12.3, 5.7, 3.3 [x10**15 Nm] I = (M1+M2+M3)/3 = 7.1 [x10**15 Nm] です。2つの震源の発震時の間隔は1.1s、等方成分の相対的な大きさは3:4です。 また、USGSの震源に対する位置の補正は北へ10km、東へ7kmです。各イベントの 破壊継続時間と深さは共通で 破壊継続時間 T < 0.2 [s] 深さ(Centroid) H = 0.5 [km] ● 解釈その他:95年、96年のフランスの核実験の際に得られた、等方成分とTNT火薬 相当量(W)との関係式 W [kT] = 4 I [x10**15 Nm] を適用しますと、 W = 12+16 = 28 [kT] となります。5月11日のインドの核実験では、相当量は30kTでした。したがって 1発か、2発かの違いはありますが、トータルの規模は概ね同じであったと推定さ れます。 (文責:菊地・山中・足立)