東大震研情報センター
◆遠地実体波解析:暫定解◆ ----------------------------------------
9月30日鳥島東方沖の地震(Mj 6.5)
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● 概略・特徴: 9月30日15時28分(日本時間)、鳥島東方沖を震源とする Mj 6.5の地震がありました。気象庁は関東・東海の沿岸及び伊豆諸島沿岸に津波注意 報を発令しましたが、約30分後に解除しました。気象庁発表の震源諸元は次のとお りです。 発生時刻 震央 深さ マグニチュード 15:28 JST 31.7°N 142.2°E 20 km 6.5 (Mj) ● データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイムサービス (spyder) により11地点の広帯 域地震計記録(P波上下動及びSH波)を集めました。今回はDMCに何かトラブルがあっ たらしく、データが収集できたのは約1日後でした。 遠地実体波(とくにP波)の観測波形は大変複雑で数十秒間揺れ続けています。こ のことから、海溝軸のごく近傍の地震と思われます。グリーン関数の計算には水平成 層構造(6 kmの海水層を含む)を用いていますので、海底の傾斜の影響による後続波 は説明できないか、あるいは、見掛け上震源に組み込まれている可能性があります。 ●結果: はじめの30秒以内の範囲にサブイベントを求めました。解析結果を図1に 示します。正断層型の2つのサブイベントから成ります。最適の深さは28kmですので、 海洋プレート内部の地震と思われます。この場合 Down-dip extension (プレートに 沿った引っ張り)型です。なお、2つ目のサブイベントは、海底傾斜の影響による見 掛けの震源の可能性もあります。主な震源パラメタは次の通りです。 サブイベント (str,dip,rake) Mo Mw T #1 (187, 83, -90) 1.9 x10**18 Nm 6.1 8 s #2 (176, 48, -87) 2.9 6.2 12 s Total (183, 62, -84) 4.0 x 10**18 Nm 6.3 ● 解釈その他: USGS、Harvard CMTはいずれも低角逆断層的な解を出しています。 震源の深さも、前者は10km、後者は15km(固定)となっています。もう少し検討する 必要と価値のある地震と思われます。 (文責:菊地)