EIC地震学ノート No.25                Oct. 16, '97

東大震研情報センター

◆広帯域地震記録解析:改訂版◆ -----------------------------------

9月26日御前崎沖の地震(Mj 4.0)

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● 概略・特徴: 9月26日23時12分、御前崎沖を震源とするMj4.0の地震があ
りました。気象庁発表の速報震源諸元は次のとおりです。

  発生時刻          震央         深さ   マグニチュード
 23:12 JST      34.41°N  138.24°E    35 km     4.0  (Mj)

● データ処理: FREESIA(防災科学技術研究所)の6観測点: FUJ, JIZ, KFU, SGN,
SMZ, NAA の記録を使いました。地震の規模があまり大きくないので、データの質は
よくありません。沖合の地震として、この辺が波形解析の限界かと思われます。

●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズム解は、ほぼ鉛直と水平のP波節面
を持ちます。また最適の深さは25kmで、気象庁の速報値よりはやや浅めです。主な震
源パラメタは次の通りです。

 発生時刻          23:12:21 
 走向、傾斜、すべり角    =  (242, 83, -80) 
  地震モーメント       Mo=  9.9 x10**15 Nm  (Mw = 3.9)
  破壊継続時間        T = 1.0 s 
 深さ             H = 25km
 断層長さ(Bilateral, v=2.5km/s) L = 2.5 km
 断層面積 (W=0.5L)    S = 3.1 x10^6 m^2
 応力降下        Δσ = 2.5 Mo /S^1.5 = 0.45 MPa

● 解釈その他: 暫定解として2点 (SMZ & JIZ) の記録を使った解を出しましたが、
方位が極端に偏っていたため、信頼性の薄いものでした。本改訂版は、気象庁から発
表されたP波初動分布と調和的です。震源の位置から判断して、フィリピン海プレー
ト内部の地震と考えられますが、その場合、起震応力はプレートの潜り込み方向の引
っ張り(Downdip-extension) を示しています。       (文責:菊地・山中)