EIC地震学ノート No.24                  Jun. 27, 97

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ----------------------------------------------------

6月25日山口県北部の地震(Mj 6.1)

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● 概略・特徴: 6月25日18時50分、山口県北部を震源とするMj6.1の地震が
ありました。最大震度は、震源地北東部の島根県益田市で震度5強。気象庁発表の震
源諸元は次のとおりです。

  発生時刻          震央         深さ   マグニチュード
 18:50 JST      34.45°N  131.67°E    12 km     6.1  (Mj)

● データ処理: IRIS-DMCの準リアルタイムサービス (spyder) により4地点の広帯
域地震計記録(P波上下動)を集めました。 

●結果: 解析結果を図1に示します。メカニズムは東西圧縮のほぼ純粋な横ずれ断
層です。余震分布から、断層面は北東-南西方向に10km弱と推測されますので、右横
ずれ型となります。波形インバージョンの結果得られた震源パラメタは次の通りです。

 走向、傾斜、すべり角    =  (52, 88, 176) 
  地震モーメント     Mo  =  7.0 x10**17 Nm  (Mw = 5.8)
  破壊継続時間      T = 3.0 s 
 深さ          H = 8 km
 断層面積(L=2sx2.5x2=10km)   S = 10x5 km**2
 くいちがい       D = Mo/μS = 0.5 m
 応力降下        Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 5 MPa

● 解釈その他:近地の地震記録から推定される破壊継続時間は約3〜4秒、上の結
果と概ね調和的です。震度4の分布が北東南西方向に偏っているように見えます。こ
れは破壊伝播の影響と思われます。                        (文責:菊地・山中)