EIC地震学ノート No.125             Aug. 25, 2002

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ------------------------------

 2002年8月19日フィジーの深発大地震(M7.6)

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●概略・特徴:8月19日夜11時ごろ(現地時間)、フィジー諸島で
大規模の深発地震が立て続けに2回発生しました。USGSによる速報震源
は次の通りです。

     発生時刻      震央           深さ    M
(A) 8/19 11:01:01 (UT)    21.76°S  179.54°W   6204km 7.5
(B)      11:08:26 (UT)    23.81°S  178.36°E   673km   7.6  

●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、6地点の
実体波(P波上下動、SH波)を用いました。初めに、点震源でメカニズ
ムを決定、次いで、断層面を固定して断層すべり分布を求めました。どち
らの地震も、2つのP波節面のうち、高傾斜面を断層面とする方が、わず
かに観測波形を良く説明しますが、決定的ではありません。

●結果:得られた震源モデルを図1図2、に示します。
主な震源パラメータは次のとおりです。

          (A)第1地震     (B)第2地震
深さ(破壊開始点)  620 km        675 km 
走向,傾斜,すべり角  (30,79, -82)    (55,89,-104)
地震モーメント    3.0x10**20 Nm      3.5x10**20 Nm
  Mw         7.6         7.6
破壊継続時間      16 s        12 s
断層面積        60km×30km     60km×30km
食い違い(最大)    1.8 m        2.2 m
    (平均)    1.2 m        1.4 m (μ=142GPa)
応力降下        9.8 MPa       11.5 MPa

●解釈その他:2つのM7.5級の地震が7分間隔で連発するという、極めて珍しい
地震です。2つの地震の震源距離は約320kmで、この間をP波、S波が伝わる時間
はそれぞれ約30秒、50秒です。したがって、2つ目の震源断層は最初の地震のS波
が到達した後、6分の時間遅れをもって動き出したことになります。
 2つの地震は、大きさ、メカニズム(Downdip compression)ともよく似ています
が、破壊過程の複雑さが異なっているのが注目されます。1番目がぎくしゃくとし
た多重震源の様相を示すのに対し、2番目は基本的に1個の急激な破壊です。ここ
では歪みがほぼ限界値に達していて、一気に断層がずれたように見えます。
                                     (文責:菊地・山中)