EIC地震学ノート No.119 Mar.26, 2002 (rev. 02/03/29)
東大震研情報センター
◆遠地実体波解析(改訂版)◆ -------------------------------------
2002年3月26日石垣島南方の地震(Mj6.9)
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●概略・特徴:3月26日昼過ぎ、12時46分、石垣島南方を震源とする地震が起こ りました。この地震に対して気象庁は津波警報・注意報を発令しましたが、まもなく解 除しました。西表島で最大10cmの津波が観測されました。 気象庁による速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ Ms 3/26 12:46 (JT) 23.0°N 124.1°E 10km 6.9 ●データ処理:IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録のうち、10地点のデータ(P波上 下動+SH)を用いました。海溝近くの震源のためか、P波記録が複雑な形をしています。 点震源を仮定してメカニズム解を決め、次いで断層面を固定して断層すべり分布を求め ました。 ●結果: 結果を図1に示します。滑り分布図の右が北東に対応します。 主な震源パラメータは次のとおりです。 深さ(初期破壊点) H = 20 km 走向、傾斜、すべり角 = (58, 88, 83)/(312, 7, 164) 地震モーメント Mo = 4.9x10**18 Nm (Mw = 6.4) 破壊継続時間 T = 6s 断層面積 S=15km×10km 食い違い D = 0.51m 応力降下 Δσ = 6.7 MPa ●解釈その他:速報の段階では南方の観測点が収集できませんでしたが、その後追加 されました。その結果、メカニズムについては比較的確かな解となりました。2つの P波節面のうち、鉛直断層面の方が波形の一致は良くなります。この場合は、沈み込 む海のプレート(スラブ)内のDown-dip extension の地震と解釈されます。もう一 つの可能性はほぼ水平の断層すべりです。この場合、プレート境界地震ということも 考えらますが、深さの解釈に難があります。今後、余震分布等の検討が必要と考えら れます。 (文責:菊地・山中)