EIC地震学ノート No.100             Feb.25,'01

東大震研情報センター

◆地震波解析(暫定版)◆ ---------------------------

  2001年2月25日福島県沖の地震(Mj 5.8)

--------------------------------------------------

●概略・特徴: 25日朝6時54分ごろ東北から関東にかけて、最大で震度3の
地震がありました。気象庁によると震源は福島県沖で「ごく浅」く、マグニチュー
ドは5.8と推定されます。速報震源は次の通りです。

  発生時刻      震央      深さ     Ms
 02/25 06:54(JT)  37.2°N 142.2°E ごく浅い  5.8

●データ処理: IRIS-DMCから6点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しま
した。地表(海底)での反射相がよく見え、比較的単純な波形です。点震源を仮定
してメカニズム解を求めた後、2つのP波節面のそれぞれを断層面とみなして、断
層すべりの時空間分布を求めました。

●結果: 図1に結果を示します。メカニズム解は「ほぼ水平な断層面」か
「ほぼ鉛直な断層面」です。図1左下は、鉛直断層面(南北走向)の場合のすべり
分布(東側から見た)を示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 (走向、傾斜、すべり角) = (9, 89, 79)/(277, 11, 177)
 地震モーメント   Mo = 7.7x10**17 Nm  (Mw = 5.9)
  破壊継続時間    T = 約 3s
 破壊開始点の深さ  H = 27 km (海底から24km)
 断層面積(余震分布)S = 10x5 km**2
 食い違い      D = Mo /μS = 0.24 m (μ= 64GPa)
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 5.4 MPa

●解釈その他: 震央とメカニズムからは、太平洋プレートの潜り込みに伴う「プ
レート間地震」のように見えますが、太平洋プレート(スラブ)内部の引っ張り
(down-dip extension)による「プレート内地震」の可能性もあります。図1のす
べり分布は後者を想定したものです。
  今回の震源付近では、1938年11月にM7クラスの地震(最大7.5)が立て続けに
発生しています。そのときのメカニズム解も今回と同じような、プレート境界型か
プレート内部型か判別しにくいものでした。また、1996年2月17日にも似たメカニ
ズムの地震(Mj6.6)が発生しています( YCUレポート#51)。
                           (文責:菊地・山中)