EIC地震学ノート No.98 Jan.26, '01 (rev. 01/01/27)

東大震研情報センター

◆地震波解析(改訂版)◆ ---------------------------

  2001年1月26日インド西部の地震(Ms7.9)

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● 概略・特徴:26日8時46分(現地時間)インドのグジャラート州(パキス
タン国境付近)を震源とするMs7.9(USGS)の大地震がありました。現地では死者が
千人を超えるとの見通しが伝えられています。USGSの震源速報は次の通りです。

  発生時刻        震央            深さ    Ms
 01/26 03:16:41(UT)     23.40°N  70.32°E   shallow  7.9

●データ処理:IRIS-DMCから18点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし
た。パルス幅が約10秒の比較的単純な波形です。初めに、点震源を仮定してメカニ
ズム解を求め、次いで、2つのP波節面のそれぞれを断層面とみなして、断層すべ
りの時空間分布を求めました。
(改訂版:5点のSH記録を追加しました。)

●結果:図1に結果を示します。メカニズム解は南北圧縮のほぼ純粋な逆断層型です。
2つのP波節面のうち、低角面(北傾斜)を断層面とした場合のすべり分布結果を
示します。図の右が西、矢印は上盤が衝き上がる方向です。主な震源パラメータは
次のとおりです。
(改訂版:断層の走向が少し変化、モーメントが少し大きくなりました。)

 (走向、傾斜、すべり角)=(276, 33, 105)/(78, 58, 81)
 地震モーメント   Mo = 2.9x10**20 Nm  (Mw = 7.6)
  破壊継続時間    T = 約20 s
 破壊開始点の深さ    H = 10 km
 断層面積(余震分布)S = 60x30 km**2
 食い違い      D = Mo /μS = 5.4 m (μ= 30GPa)
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 9.6 MPa

●解釈その他:規模の割にすべりの範囲は狭く、応力降下は高めです。インドプレ
ート内部の逆断層と思われます。震源が浅く、地表地震断層が現れた可能性大です。
被害状況が気になります。
改訂版:最大すべりが震源からやや西(図では右)寄り10-20km付近に見られます。
                           (文責:菊地・山中)