EIC地震学ノート No.95            Nov. 23, '00

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析◆ ------------------------------

  11月16日ニューアイルランド島近海の地震(Ms8.0)に続く大地震の群

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● 概略・特徴: 11月16日、日本時間午後2時前、ニューアイルランド島近海を
震源とするMs8.0の巨大地震がありました。この地震についてはEIC地震学ノートNo.94
に解析結果が載っていますが、この後M6〜7クラスの地震がこの付近でいくつも起こ
りました。USGSの速報震源のうちM6以上のものをあげると以下の通りです。

      発生時刻               震央            深さ      M
 11/16 05:21:23(UT)    5.0°S  153.1°E   normal  6.1
 11/16 07:42:16(UT)    5.2°S  153.1°E   normal  7.7 *
 11/16 07:45:32(UT)    5.1°S  153.2°E   normal  6.5
 11/16 11:05:41(UT)    5.3°S  152.9°E   normal  6.2
 11/17 21:01:57(UT)    5.5°S  151.7°E   normal  7.3 *
 11/18 02:05:49(UT)    4.9°S  153.2°E   normal  6.8 *
 11/18 06:54:59(UT)    5.2°S  151.7°E   normal  6.6 *
 11/18 23:05:39(UT)    5.4°S  153.6°E   normal  6.0
 11/21 21:21:07(UT)    5.0°S  152.8°E   normal  6.2

●データ処理:上記リストのうち*印のついた4つの地震に対して、IRIS-DMCから波形
データを収集し、遠地実体波(P & SH)広帯域記録を用いて解析を行いました。

●結果:解析した4つの地震の主な震源パラメータは次のとおりです。
DATEメカニズム深さMo (Nm)Mw破壊継続時間
走向傾斜すべり角
11/16 07:42:16(UT)84648950km1.2x10**207.316s
11/17 21:01:57(UT)78579755km1.2x10**207.325s
11/18 02:05:49(UT)143538030km5.4x10**186.410s
11/18 06:54:59(UT)75499555km1.4x10**196.713s

●解釈その他:
  これらの地震は11/16の横ずれ型巨大地震によって誘発されたプレート境界地震と
考えられます。深さが50km程度と深めだったために津波が起こらなかったと考えられ
ます。                    (文責:山中・菊地)