EIC地震学ノート No.92 Oct. 3, '00 (rev. 00/10/04)
東大震研情報センター
◆遠地実体波解析◆ ------------------------------------
10月2日奄美大島近海の地震(M5.7, M5.4)
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● 概略・特徴: 10月2日夕方、奄美大島近海を震源とするM5クラスの地震が 2回続けて起こり、十島村悪石島では震度5弱を記録しました。気象庁の速報震 源は以下の通りです。 発生時刻 震央 深さ M 10/02 16:29(JT) 29.4°N 129.3°E 30 km 5.4 10/02 16:44(JT) 29.5°N 129.3°E 10 km 5.7 ●データ処理: IRIS-DMCの5-7点の遠地P波広帯域記録を用いました。S/N比は 悪く辛うじて信号が見える程度ですが、方位分布は比較的良好であり、メカニズ ムや震源の深さを決めることは可能です。理論計算に用いた構造は、0.5km海水層 +20km地殻+半無限マントルの3層構造です。 ●結果: 図1、図2に結果を示します。 2つの地震はほぼ同じメカニズム(北西-南東に張力軸を持つ正断層)、大きさ、 深さを持ちます。主な震源パラメータは次のとおりです。 16:29の地震 16:44の地震 震源時 16:29:42 16:44:10 (走向、傾斜、すべり角) (31, 47, -112)/ (2, 62, -116)/ (241, 47, -69) (228, 38, -51) 地震モーメントMo 1.5 x10**17 Nm 1.6 x10**17 Nm (Mw = 5.4) (Mw = 5.4) 破壊継続時間 T 約3 s 約3 s 深さH 10 km 11 km 断層面積S 5x2.5 km**2 5x2.5 km**2 食い違いD = Mo /μS 0.4 m (μ=30GPa) 0.43 m 応力降下Δσ 8 MPa 9 MPa ●解釈その他: 琉球海溝の背弧海盆側で起こった正断層型の地震です。張力軸は 概ね海溝軸に直交する方向です。震源は浅く、海底下約10kmです。2つの最大地震 が同程度の規模であることから、群発的な様相を呈しています。 (文責:菊地・山中)