EIC地震学ノート No.87 Jul.24, '00 東大震研情報センター
◆地震波解析(暫定解・補足)◆ ---------------------------
7月24日神津島近海の地震(M5.9)
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● 概略・特徴: 地震活動が活発化している神津島近海で、7月24日朝M5.9の地 震が発生し、式根島で震度5強、神津島で震度5弱を記録しました。気象庁の速報震 源は以下の通りです。 発生時刻 震央 深さ M 07/24 06:52(JT) 34.2°N 139.3°E 0 km 5.9 ●データ処理: 防災科学技術研究所のFREESIA観測点から、館山(TYM)、中伊豆 (JIZ)、都留(SGN)の広帯域地震計記録を集めました。これに帯域0.01-1Hzのバンド パスフィルターをかけ、変位記録に変換しました。 ●結果:図1に結果を示します。メカニズム解はほぼ純粋な正断層型(北東-南西引っ張り) です。主な震源パラメータは次のとおりです。 震源時 00/07/24 06:52:46 (走向、傾斜、すべり角)=(160, 60, -74)/(310, 33, -115) 地震モーメント Mo = 3.1 x10**17 Nm (Mw = 5.6) 破壊継続時間 T = 約8 s 主要破壊の深さ H = 6 km 断層面積(余震分布)S = 10x5 km**2 食い違い D = Mo /μS = 0.21 m (μ=30GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 2.2 MPa ●解釈その他: 7月1日以降に起こった一連のM6クラスの震源分布とメカニズ ム解を図2に示します。今回の地震の震央は7月1日や9日のM6地震とほぼ同じ ですが、メカニズムは明らかに異なり、今回は正断層です。下からの押し上げの力 が、広域応力場による北西南東方向の圧縮力を上回ったことを示唆します。震源の 真下付近にマグマが上昇したことによると考えられます(図3)。今後さらに、G PSデータや地震データ等による地殻活動の厳重な監視が必要と考えられます。 (文責:菊地・山中)