EIC地震学ノート No.86                  Jul. 21, 00 東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ ---------------------------

  7月21日茨城県沖の地震(M 6.1)

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● 概略・特徴: 7月21日未明、茨城県沖合を震源とする地震があり、水戸市、
栃木県市貝町で震度5弱を記録したほか、関東・甲信越の広い範囲で地震を感じ
ました。気象庁の速報震源は次の通りです。

  震源時        震央           深さ    M
 07/21 03:39(JT)     36.6°N  141.0°E    50 km  6.1

●データ処理:IRIS-DMCの9点の遠地実体波(P波)広帯域地震計記録を用いまし
た。観測点の方位分布はよくありません。

●結果:結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 走向、傾斜、すべり角 =  (229, 34, 94) / (45, 57, 87)
 地震モーメント   Mo= 8.9x10**17 Nm  (Mw = 5.9)
  破壊継続時間    T = 4.0 s (主破壊部分2.5s)
 主要破壊の深さ   H = 42 km
 断層面積(双方向伝播を仮定:L=2.0sx2.5km/sx2=10km;W=L/2)
           S = 10x5 km**2
 食い違い      D = Mo /μS = 0.3 m (μ=64GPa)
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 6.3 MPa

●解釈その他:メカニズム解は北西-南東圧縮の逆断層です。傾斜角はやや大きめで
すが、震源の位置から判断して、プレート間の地震と考えられます。破壊継続時間
が3秒程度の小破壊2個から成るようにみえます。
  なお、1982年7月23日に今回の地震の南東約100kmでM7.0(Mw6.9)の地震が
起こっています。またその翌年10月に三宅島の噴火がありました。
                                  (文責:菊地・山中)