EIC地震学ノート No.185             Mar. 25, 2007
                         
東大地震研究所

◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------

3月25日能登半島沖の地震(M6.9)

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● 概略・特徴: 3月25日9時41分(JST),能登半島沖でM6.9の地震が発生しました. この地震による死者は1名,200名以上の方がけがをされました.倒壊した家屋もあると いうことなのでちょっと心配です. この地震による津波が珠洲や金沢で0.2m観測されました(気象庁による).
気象庁による速報震源は次の通りです.

    発生時刻           震央       深さ     M

 07/03/25 09:42  (JST)   37.22°  136.685°E    11km    6.9

●データ処理: IRIS-DMCから収集した広帯域地震計記録(P波上下動32,SH波7) を用いて解析しました.
●結果: 結果をに示します。 主な震源パラメータは次のとおりです.

 走向、傾斜、すべり角 =  (60,72,120)
 地震モーメント  Mo  =  1.44 x10**19 Nm  (Mw = 6.7)
  破壊継続時間(主破壊) T  = 約 10 s
 深さ          H = 4 km
 断層面積        S = 20 km x 10 km
 最大すべり量      Dmax = 3.0m

●解釈その他:
横ずれ成分を含む逆断層の地震です.メカニズムはUSGS,防災科技研,筑波大八木氏 ともほとんど同じです.断層面は北東−南西走向の立った面だろうと思われます. 波形解析でも多少こちらの面を断層面とした方が波形のあいがいいですし,余震分布 もこの走向に並んでいる(防災科技研特集ページなど)ようです.深さはかなり浅い です.

は震央,コンターは地震のすべり量分布(0.5m間隔).


(文責:山中)

P.S. 今日はいとこの結婚式に行っていて,ホテルでバタバタしているときにこの地震 を知りました.というわけで今回は解析するのが遅くなってしまいました.私事ですが この3月で地震研を辞めることになりました.EIC地震学ノートはNo.184で終わりかと思って いたところでこの地震が起こりました.4月からは名古屋大に移籍します.EIC地震学ノート はおそらくこの回をもっておしまいですが,4月からも名古屋大からEIC地震学ノートと同じ ような情報発信をしていくつもりですのでよろしくお願いいたします.
本当に長い間ありがとうございました.そしてEIC地震学ノートは名前は変わりますが, 今後もよろしくお願いいたします.