トップ 差分 一覧 ソース 検索 ヘルプ PDF RSS ログイン

2009Test_j

第1回地震発生予測検証実験について

地震活動評価に基づく地震発生予測研究グループ(事務局、東京大学地震研究所内同研究グループ)

文責:東京大学地震研究所 楠城一嘉、平田 直、鶴岡 弘

最終更新:2010年9月

英語版ウエブページ

  1. はじめに

「地震活動評価に基づく地震発生予測研究グループ」は、日本の地震活動を予測するモデルの性能を競い合う比較研究を行う。主要目的は、異なった地震の統計・物理法則に基づく予測手法の妥当性を検証し、それらの法則と大・中規模地震発生の関係を理解することである。この比較研究のために、予測モデルの公募を行った。さらに、新たな地震予測の精度を検証する方法の開発と応用を目的とした検定方法の公募も行った(公募の詳細はこちら、または、日本地震学会ニュースレターのウエブページ)。この公募を踏まえて、実験参加者の相互理解と実験詳細打ち合わせをするために、国際シンポジウム“地震発生予測システムの構築に向けて”を開催した。その打ち合わせで決定された本実験の詳細を以下に記す。これは、第一回目の検証実験であり、同種の実験は今後も行われる予定である。

  • 予測モデル提出締切日:2009年10月1日
  • 実験開始日:2009年11月1日
  • 提出モデルの一覧 (要ユーザー名, 要パスワード)
  • 特集号 Earth, Planets and Space (EPS) "Earthquake Forecast Testing Experiment for Japan".

  2. ルール説明

本実験は原則的にCSEP(Collaboratory for the Study of Earthquake Predictability)プロジェクトのルールに従う。これは、先行研究であるRELM (Regional Earthquake Likelihood Models)プロジェクトのルールと同じであるので、RELM特集号及び、CSEPウエブサイトを参照されたい。ここでは、日本に特化したルール等の詳細を説明する。

  • 2.1. 予測モデルの提案者と検証センター、予測検証実験の管理と結果の公表
    • 2.1.1. 予測モデルの提案者:地震の予測モデルを検証センター(2.1.2)に提出して実験に参加する研究者(以下、モデラーと言う)。検証センターの同意が得られなければ、実験開始後にモデルの棄権は許されない。提出モデルは2.3のテストクラスのいずれかに属する。
    • 2.1.2. 検証センター:地震研究所に構築されたCSEP計算機システムを用いて、予測検証実験を統括する機関。当センターは、予測モデルを受付け、モデラーと独立に予測精度の評価を行う。追試等を可能にするため、予測検証結果を保管する。
    • 2.1.3. 実験結果は、検証センターの管理するウエッブページで、実験参加者コミュニティーにパスワード付きで公開される。予測モデル、検証方法、および検証センターの概要は、査読付き論文として公表する(企画準備中)。
  • 2.2. テスト地域
    • 2.2.1. 日本ほぼ全土と沿岸域を含む領域(図1: eps, jpg)。深さ <= 100kmにおいて、領域を0.1°x0.1°の小地域に区切り、それぞれの小地域において、予測期間に発生する地震数を予測する。
    • 2.2.2. 日本本土を含む領域(図2: eps, jpg)。 <= 30kmにおいて、領域を0.1°x0.1°の小地域に区切り、それぞれの小地域において、予測期間に発生する地震数を予測する。
    • 2.2.3. 関東を含む領域(図3: eps, jpg): <= 100kmにおいて、領域を0.05°x0.05°の小地域に区切り、それぞれの小地域において、予測期間に発生する地震数を予測する。
  • 2.3. テストクラス
    • 2.3.1. 1日予測:テスト地域内の個々の小地域において、1日の長さを持つ予測期間に起きる、各々のマグニチュードm=4.0, 4.1, 4.2, …, 9.0の地震の個数。マグニチュードm=4.0にとっての地震数とは、3.95<=m<4.05のマグニチュードを持つ地震の個数を意味する。他のマグニチュードも同様。第一回目の予測期間の開始時刻は2009年11月1日00:00:00、第二回目の開始時刻は2009年11月2日00:00:00、第三回目にとっては2009年11月3日00:00:00。第四回目以降も同様。
    • 2.3.2. 3か月予測:予測期間の長さ以外は(2.3.1)と同じ。第一回目の予測期間の開始時刻は2009年11月1日00:00:00、第二回目の開始時刻は2010年2月1日00:00:00、第三回目にとっては2010年5月1日00:00:00、第四回目にとっては、2010年8月1日00:00:00。
    • 2.3.3. 1年予測:テスト地域内の個々の小地域において、1年の長さを持つ予測期間に起きる、各々のマグニチュードm=5.0, 5.1, 5.2, …, 9.0の地震の個数。マグニチュードm=5.0にとっての地震数とは、4.95<=m<5.05のマグニチュードを持つ地震の個数を意味する。第一回目の予測期間の開始時刻は2009年11月1日00:00:00、第二回目にとっては2010年11月1日00:00:00。
    • 2.3.4. 3年予測:予測期間の長さ以外は(2.3.3)と同じ。開始時刻は2009年11月1日00:00:00。
  • 2.4. 予測の対象となる地震カタログ: テスト領域(2.2)・テストクラス(2.3)に関わらず、気象庁震源カタログに収められる、最終的に確定された地震。デクラスタリングは行わない。
  • 2.5. 検定方法
    • 2.5.1. テスト領域(2.2)・テストクラス(2.3)に関わらず、CSEPで採用された検定手法を用いる(CSEPウエブサイトを参照)。標準的な手法は、尤度に基づくNテスト、Lテスト、Rテスト(Schorlemmer et al., 2007)、及び、Molchan、ASS、ROCテストである。CSEPの手法は、予測された地震活動と実際に予測期間に起きた地震活動の類似性を定量化して、モデル間の予測結果の比較を可能にする。
    • 2.5.2. 提案があった一検定手法も本実験で用いる(説明文準備中)。
  • 2.6. 実験開始日:2009年11月1日

  3. 地震予測モデル提出

予測モデル提出締切日:2009年10月1日(プログラムコードまたは予測結果を出力したファイルを提出する)

モデル提出前に、テスト地域(2.2)・テストクラス(2.3)に応じて、以下の二つのファイル(a)と(b)をダウンロードする。

  • (a)地震の個数の予測値を求める位置のリスト(緯度と経度のペアのリスト)が示されているファイル(GridMLと呼ぶ)。
  • (b)予測結果の出力形式(XML形式: ForecastMLと呼ぶ)のテンプレート
    • テンプレートのファイルサイズが大きいため、圧縮されたファイルと圧縮されていないオリジナルファイルを用意した。後者のオリジナルファイルについては、右クリックをして表示されるメニューリストから“名前を付けてリンク先を保存”を選択して、ダウンロードする。
    • テンプレートのファイルサイズが大きいため、XML editorではファイルを開く処理に時間がかかる場合がある。そのときは、WordPadなどのワープロソフトを使用すると比較的短時間で開ける。

(a)の位置で予測値を求める。例えば、小地域の大きさが(2.3.1)のように0.1°である時、(122.45 24.15)は東経122.45°、北緯24.15°で与えられる位置を示し、四隅が(122.4 24.1)、(122.4 24.2)、(122.5 24.2)、(122.5 24.1)の地域の中心である。そして、(b)の形式で結果を出力できるように、予測モデルのプログラムコードを書き換え、検証実験へ適合するようにする。つまり、出力結果をそのテンプレートに書き込むのではなくて、そのテンプレートが示すように結果をファイルに書きだすことができるようにプログラムコードを改良する。

その後、モデラーは検証センターのスタッフと共同しながら、プログラムコードを計算機システムへ取り込み、稼動できるようにする。

1年・5年予測モデル(2.3.3、2.3.4)について、もしモデラーがプログラムコードの提出を好まない場合、最終提出物は(b)のForecastML形式で予測結果を出力したファイルとする。ただし、次回開催予定の実験で、同一のモデルを用いて出力された結果ファイルを提出したとしても、そのモデルは新規参加モデルとみなされることを理解しなければならない。これは、本実験と次回実験で用いるモデルが同一である保証がないことによる。

第一回の実験開始日は(2.6)で与えられるが、1日予測及び3か月予測のクラス(2.3.1、2.3.2)に属する新規予測モデルを3ヶ月おきに受けつけるので、検証センターに相談する。

  4. 検定方法提出

検定方法を提案した研究者は、検証センターのスタッフと共同しながら、プログラムコードを計算機システムへ取り込み、稼動できるようにする。提出締め切り日を後日通知する。

  5. データへのアクセス

もし予測モデルの開発および最適化の目的のために気象庁一元化地震カタログが必要であれば、検証センターへその旨を伝える。当センターは、地震カタログをオリジナルフォーマット及びCSEPフォーマットで提供が可能である。(ただし現在準備中)

  6. 問合せ先

〒113-0032 東京都文京区弥生1−1−1 東京大学地震研究所内「地震活動評価に基づく地震発生予測研究グループ」事務局及び、地震発生予測検証実験センター(平田直、鶴岡弘、楠城一嘉)

  7. 図の説明

  • 図1 日本ほぼ全土と沿岸域を含む地域(2.2.1)。青色の地域で検証実験を行う。記号+の位置で予測値を求める。ダウンロード (eps, jpg)
  • 図2 日本本土を含む地域(2.2.2)。図1のキャプション参照。ダウンロード (eps, jpg)
  • 図3 関東を含む地域(2.2.2)。図1のキャプション参照。ダウンロード (eps, jpg)