《目次》
巻頭言(菊地 正幸)

新しい並列計算機システムについて(鷹野 澄)

地震研究所所蔵の歴史地震記象の検索(野口 和子)

最新地震カタログ(鶴岡 弘)

計算機の継続利用申請について(鷹野 澄)

新人SE紹介



 地震予知情報センター利用者の皆様
本年もよろしくお願いします。
 昨年日本列島周辺では、被害地震もなく、たいへん静かでした。どれくらい静かだったか見てみようと、地震カタログデータベースで調べてみました。被害の目安となるマグニチュード6以上、深さ100km以浅の地震リストをとってみたところ、たったの1個、しかもその震源は八丈島の南方約300kmでした。
 大きい地震が起こらないことは良いことですが、こうも静かだとかえって不安になるのは地震研究者の悪い癖かも知れません。でもやはり防災意識の風化につながるのではと心配になります。
 「災害は忘れた頃にやってくる」とは言い得て妙で、単に大地震の再来間隔が人の一生に比べて長いという自然現象を表しているのではなく、「忘れる」(=油断する)ことが災害につながるという、災害の本質的な社会的側面を指摘しています。
 折しも今年は大正の関東大地震(1923年)から80年、元禄の関東大地震(1703年)からちょうど300年の節目の年です。それぞれのやり方で防災意識の喚起高揚に努めた いところです。 ところで、有楽町数寄屋橋の交番裏に関東大地震の記念碑(写真)があるのをご存じでしょうか。大正12年9月1日午前11時58分、東京を中心に関東一円を襲った大震災を記念するため、広く浄財を集めて十周年目に建てられました。彫刻界の巨匠北村西望氏が「平和の神」を象徴して制作、台石には朝日新聞社が全国から募集して選んだ「不意の地震に不断の用意」の標語が刻まれ、この惨事を二度と繰り返さぬよう注意を喚起しています。近くを通った際はぜひご覧になるようおすすめします。
 



新しい並列計算機システムについて

 来る3月より、本センターの全国共同利用並列計算機システム(ホスト名eic)が、新しいシステムに更新されます。新しいシステムは、今月9日に米国 SGIより「SGI Altix 3000 system」として製品発表されたばかりの新製品です。本センターには、その第1号機が納入される予定です。このマシンは、以下の点で、今後様々な分野で注目を浴びるものと予想されます。
←SGI Altix 3000システムの概観(Linuxのペンギンをデザイン)
★特徴はItanium2とLinux★
この新しいマシンの主な特徴は、以下の通りです。
  • 現時点でスカラーCPUとして世界最高性能を誇るIntel Itanium2を採用した本格的な並列計算機。
  • OSは、オープンソースのLinux(Red Hat)を採用。並列計算の為のメモリとCPUの最適配置機能を追加。
  • SGI独自のNUMAflexアーキテクチャーを採用し、Linux用の共有メモリ型並列計算機としては初めて64CPUまでをサポート。
    (最大512CPUまで計画)
  • Fortran自動並列コンパイラ、MPI並列プログラミング、高速並列化ライブラリ、などの並列計算環境が完備。
つまり簡単に言うならば、Linux向けの初めての本格的な並列計算機サーバです。
★優れた単体性能と並列計算性能★
 Intel Itanium2の単体性能は、浮動小数点演算の性能を示すSPECfp値で見ると1431(マシンはHP)で、現時点での最高速を誇っています。CPU単体性能は、現在のOrigin 2000の4〜5倍が期待されます。
 並列計算性能についても、SPECfp_rate値を見ると862(米国SGIのニュースより)で、現時点での他社の同じCPU台数のマシンに比べて約2倍の高性能です。
★次期システムの構成★

 地震研に納入されるシステムは、以下の3つのサーバ、高速ディスクアレイ装置、大容量ファイルサーバ等からなっています。

並列計算サーバ(64CPU/128GB)
 特に並列化性能の優れたプログラム向きのバッチ専用サーバ。一つのジョブで、最大32CPUまで利用可能。現在のマシンで16CPUで実行した場合に比べて、約8〜10倍の高速化が期待できる。メモリも約6倍の64GBまで利用可能の予定。

高速計算サーバ(32CPU/128GB)
 8CPUまでの並列計算が利用可能なバッチ専用サーバ。通常の自動並列化ジョブ向き。また、うまく並列化できないプログラム用に、1CPUを長時間利用可能にするジョブクラスも用意する。メモリは16〜32GBまで利用可能とする予定

フロントエンドサーバ(12CPU/32GB)
 主にTSSと、短時間バッチジョブ用のサーバ。利用者はここにloginして、並列計算サーバや高速計算サーバにジョブを投入する。

高速ディスクアレイ装置
 大型計算の作業ファイル(/work)用ディスク装置。一人最大40GBまでを作業用として一時的に利用可能。長期間使われない作業ファイルは自動で消去される。


大容量ファイルサーバ
 ユーザホームディレクトリやセンターのデータベース等を格納するディスク装置。ユーザファイル用には一人8GBまで利用可能となる予定。


大容量テープ装置
 ユーザファイルやデータベースのバックアップ用。バックアップは自動的に行われる。


利用者端末
 利用者端末は、504号室に6台を設置する予定。利用者端末のOSはサーバと同じLinuxである。DVD、CDR、MO、DATなどの周辺装置も利用可能。

★ファイル移行★
 今月から、移行用ディスクならびにファイルサーバを設置して、現システム上のファイル移行を開始しています。利用者のファイル移行は2月26日(水)〜27日(木)を予定しています。このため、2月26日のお昼頃に、現システムを一旦止めて、それ以降利用者の利用を制限する予定です。
★新システムの利用方法★

バイナリ−数値データの取り扱い
 Intel Itanium2では、メモリ上の数値データの格納方法はlittle-endianです。現在のOrigin 2000やSunなどはbig-endianですので、移行後のバイナリ−数値データの利用には注意が必要です。
 ただ、Fortranプログラムの場合は、ファイルI/Oのオプションを使うことで、従来のbig-endianの数値データも特に問題なくそのまま利用可能です。


並列計算時のCPUやメモリの配置の最適化
 オープンソースのLinuxには、並列プログラムを効率よく走らせるためのCPUやメモリの配置の最適化がまだ十分ではありません。このため、並列計算時のCPUやメモリの配置を最適化するdplaceコマンドが提供されています。次期システムでは、並列プログラムは必ずdplaceを使って起動することとします。(例:dplace paraprog ... )通常これだけで数割以上高速化されるので、dplaceは、よく効く「おまじない」だと思って必ずご利用ください。
 なお、新システムの詳しい利用方法は、計算機利用のホームページ( http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/computer/)においてご案内する予定です。


地震研究所所蔵の歴史地震記象の検索

本記象記録は,平成10年3月に古地震記象委員会が発足し整理した煤書き記録です。1887年から1978年までの記象紙データ約22万件を公開しています。検索はhttp://retro.eri.u-tokyo.ac.jp/susu/に入るとデータファイル情報のページがでてくるのでデータ存在期間と観測点をチェックし,「検索入力画面へ」をクリックすると検索条件入力画面となる.
右の検索入力画面から,
・検索したい年月日の範囲
・検索したい記録の観測点名(複数選択可)
・検索したい記録の地震計型の種類(複数選択)
・検索したい記録の成分(複数選択可)
これらのリクエストを送るとデータベースから該当するレコードを検索し表示する.フレーム左側は目次でデータの観測点情報,地震計情報などが分かるようになっている.右側の検索条件入力画面でほしい記録の開始年月日,終了年月日を入力する(記録の開始終了年月日は必ず記入する).どのような記録がマイクロフィルム化されているかが一目でわかるようになっている.また実際の波形記録を見たいユーザーには,どのマイクロフィルムを見ればいいのかが簡単に検索できるようになっている.この他にデータ利用する場合に必要になってくる観測点情報や各観測点で設置されていた地震計の種類の変遷などもWEB上で見ることができる.
なおリストは順次更新されています。

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最新地震カタログ情報

http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/db/index-j.html で利用できる地震カタログの最新情報です.


JUNEC(全国地震観測網地震カタログ) 
 収録期間:1985/07/01〜1998/12/31  
 データ元:ftp://ftp.eri.u-tokyo.ac.jp/pub/data/junec/hypo/


NIED(防災科学技術研究所地震カタログ)
 収録期間:1979/07/01〜2001/12/31  
 データ元:http://www.bosai.go.jp/center/kanto-tokai/data/index.html


JMA(気象庁地震カタログ)  
 収録期間:1926/01/01〜1997/09/30  
 データ元:ftp://ftp.eri.u-tokyo.ac.jp/pub/data/jma/geppo/


JMA(気象庁一元化震源カタログ)
 収録期間:1923/10/01〜2002/09/30  
 データ元:ftp://ftp.eri.u-tokyo.ac.jp/pub/data/jma/mirror/JMA_HYP/  
 *このデータの利用については,ニュース レターNo.9 もごらんになってください.


HARVARD(HARVARD大CMT地震カタログ)
 収録期間:1977/01/01〜2002/09/30  
 データ元:ftp://128.103.105.101/CMT/


ISC(ISC地震カタログ)
 収録期間:1964/01/01〜1998/12/31  
 データ元:ISC Catalogue 1964-1998 (CD- ROM)

   システムおよびデータに関する質問・要望等はturu@eri.u-tokyo.ac.jp までお願いします.

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計算機の継続利用申請について

平成15年度のEIC共同利用計算機システムの利用継続申請を受付けます。引き続きご利用される方は、継続申請をお願いします。
継続申請は、申請用紙やメール申請フォームなどでも可能ですが、下記のホームページから行うのが簡単です。

http://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/computer/

なお、地震研究所の職員の方は自動継続となりますので、継続申請は不要です。学生の方は継続利用申請をしていない場合、4月から利用できなくなりますのでご注意下さい。

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 氏名
   猪又 優妃
   (いのまた ゆうき)

 趣味
   ピアノ・スキー

よろしくお願いします。

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