マニラ国際ワークショップ報告


昨年11月28〜30日、科学技術振興調整費「アジア・太平洋地域に適した地震・津波災害軽減技術の開発とその体系化に関する研究」(略称EQTAP)の第3回国際ワークショップがマニラで開催されました。地震研究所からは、計測部門の東原教授と情報センターの菊地・山中の計3名が出席しました。多くは工学系で理学(地震学)系と文系も含む多種多彩なワークショップでした。我々に関係したところでは、強震計データベースの構築・公開や発展途上国における災害調査のあり方などが取り上げられました。

 菊地・山中は"Prompt assessment of seismic source and strong motion"と題して発表しました。早期地震情報の把握とそれに基づく特集ホームページの立ち上げに関するものです。その後少し具体化した計画案を下に示します。

〔PHIVOLCS(フィリピン火山地震研究所)訪問。客員研究員向けの無料宿泊施設も完備されている。〕


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早期地震情報に基づく特集HPの立ち上げとデータベースの構築(案)
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▼内容
 世界中でM7.5以上(USGSの情報[QED]をもとに)の地震が起こると自動的にその地震についての特集HPを作成する。個々のページで見られる情報として以下の項目を割り当てる。
・メカニズムや詳細な破壊過程
・これまでの地震活動
・過去にこの地域で起こった地震の震源過程
・余震活動
・テクトニクス
・波形データ

▼データベースの構築
 特集HPに掲載(またはリンク)された個々のページの内容を各執筆者にチェックしてもらった上で集約してデータベース化する。

▼今後の改良点
 実際に地震情報を災害軽減に役立たせるには大地震発生をより早く検知する必要がある。現在我々は9国立大学、気象庁と共同で衛星を使ったリアルタイム地震波形データ交換を行っている。これによって日本全国に設置された200点以上の観測点のデータが入手できるので、これを地震観測アレーとして大地震発生をよりす早く検知し、その後の波形処理と連動させるシステムを構築する。

〔バスの車窓から〕

 
<あとがき>
 野外観察に行く途中、バスから見えた景観はショックでした。スラム街と高級住宅街が隣り合わせです。あの有名なマラカニアン宮殿もスラム街から1キロと離れていないところにあります。こういうところでもし大地震が発生したら・・・