EIC地震学ノート No.134 May. 23, 03
東大震研情報センター
◆遠地実体波解析(暫定解)◆ --------------------------------------
5月21日アルジェリアの地震(Ms6.7)
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● 概略・特徴: 5月21日午後7時45分(現地時間)に、アルジェリアで
Ms6.7の大地震が発生
しました。この地震で少なくとも死者1000名以上、けが人も7000人以上に及ぶ
被害がでています。USGSによる速報震源は次の通りです。
発生時刻 震央 深さ M 03/05/21 07:44:18 (UT) 36.9°N 3.7°E 10 km 6.8●データ処理: IRIS-DMCから収集した27地点の広帯域地震計記録(P波上下動) を用いて解析しました。
●結果: 結果を図に示します(波形の比較はこちら)。主な震源パラメータは
次のとおりです。
走向、傾斜、すべり角 = (262, 47, 98) 逆断層 地震モーメント Mo = 1.8 x10**19 Nm (Mw = 6.8) 破壊継続時間(主破壊) T = 14 s 深さ H = 5 km 主破壊の断層長 L = about 30 km 断層面積 S = 30 km x 15 km 食い違い D = 1.7m 応力降下 Δσ = 5.5 MPa
● 解釈その他:この付近は、アフリカプレートがユーラシアプレートの 下に沈み込んでいるところです。今回の地震はそのプレート境界で起こった ものと考えられます。この地震は主に2つのイベントからなり、破壊は 西に進んだと考えられます。被害が大きくなった最大 の原因は、震源がごく浅かったこと(おそらく地表に断層が現れていると 考えられる)、規模が大きかったこと(兵庫県南部地震に匹敵する)にある と考えられます。1980年にも 今回の地震の西側でMw7.1の地震が起こり、大きな被害を出しました。 今後の被害状況が気になります。