EIC地震学ノート No.132     Feb. 25, 2003

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(暫定版)◆ ------------------------------

 2003年2月24日中国西部の地震(M6.3)

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●概略・特徴:現地時間2月24日10時過ぎ、中国北西部ウィグル自治
区で中規模地震(Ms6.3)の地震がありました。TVニュースによると少な
くとも死者262人、負傷者1千人以上がでた模様です。USGSによる速報震源
は次の通りです。

     発生時刻           震央        深さ   M
 02/24 02:03:45 (UT)    39.6°N  77.2°W   shallow  6.3

●データ処理:IRISのWebデータサービスWILBER-IIから収集した広帯域
地震計記録のうち、11地点のP波上下動、4地点のSH波を用いました。
波形は大変複雑で、多重震源の様相を呈しています。初めに、点震源を
仮定して、メカニズムを決めました。その結果、南北圧縮の低角逆断層
解が得られました。次いで、低角面を断層面として、断層すべり分布を
求めました。

●結果:得られた結果を図1に示します。
図2には地図上に投影したすべりのコンターを示します。
概ね2個のアスペリティが見られます。主な震源パラメータは次のとおりです。

震源(破壊開始点)  震央(39.52 N, 77.38E), 深さ 3km
走向,傾斜,すべり角  (268, 20, 74)
地震モーメント    8.8x10**17 Nm (Mw=5.9)
破壊継続時間     約12 s
断層面積(主要部)  10km×5km
食い違い(最大)   0.3 m
応力降下(主要部)  4.2 MPa

●解釈その他:衝突大陸内部の逆断層です。震源が大変浅い(3km)こと、破壊
過程が複雑で、短周期成分が多く含まれていたことが局所的な建物の倒壊に関係
したと考えられます。なお、地震の規模(Mw)と深さは研究機関によってかなりば
らついています。           (文責:菊地・山中)