EIC地震学ノート No.131        Jan.22, 03 (rev. 03/01/25)

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(revised)◆ --------------------------------------

    03年1月22日メキシコ・コリマの地震(Ms 7.3)

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● 概略・特徴: 1月21日午後8時6分ごろ(現地)メキシコ中部コリマ州を震
源とするMs7.3の地震が発生し、海岸付近で少なくとも29人の死者がでた模様です。
USGSによる速報震源は次の通りです。
     発生時刻         震央     深さ    Ms
 0122 02:06:36 (UT)   18.80°N  103.9°W   shallow  7.3 

● データ処理: IRISのHP(WILBER)から収集した広帯域地震計記録のうち、24地点
のデータ(P波上下動とSH波)を用いました。観測点分布は良好です。波形は単純です。
初めに、点震源を仮定してメカニズム解と深さを求めました。
ついで、低角断層面を固定して断層すべり分布を求めました。

●結果: 結果を図1に示します。主な震源パラメータは次のとおりです。

 深さ(破壊開始点)     H = 20 km
 走向、傾斜、すべり角 =  (309, 25, 97)
 地震モーメント  Mo  =  1.6 x10**20 Nm  (Mw = 7.4)
  破壊継続時間  T  = 21 s
 主破壊の断層長 L = 60km
     面積  S = 60kmx30km
 食い違い    D(mean) = Mo / μS = 1.5 m (μ=60GPa)
                  D(Max) = 2.2 m 
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 5.2 MPa

● 解釈その他:海のプレート(ココスプレート)が北米プレートの
下に沈み込むプ レート間地震(低角逆断層)と思われます。今回の
地震の震源域は,死者約1万人を出した1985年9月19日のミチョア
カン地震(M8.1)の震源域の西側に位置します。USGSの震源を参照して、
今回の地震の震源域を地図上に表すと図2のようになります。ちょうど
地震空白域のところに位置します。いずれ現地の観測データから、
より正確な位置関係がわかると思います。
 ミチョアカン地震では 震源から300km以上も離れているメキシコシティ
で大きな地震動が観測されました。今回は地震の規模が小さめであることから、
85年ほどの揺れはなかったと考えられます。
 もう一つ注目されるのは、メキシコで稼働している早期地震警報
システム(SAS)が作動したかどうかです。日本でも気象庁がナウキャスト
の実用化を試みている折り、とくに関心が持たれます。
                 (文責:山中・菊地)