EIC地震学ノート No.129     Nov. 04, 2002 (Rev. 02/11/05)

東大震研情報センター

◆遠地実体波解析(改訂版)◆ ------------------------------

 2002年11月3日アラスカの地震(M7.9)

   +10月23日(M6.7)の地震

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●概略・特徴:現地時間11月3日13時過ぎ(日本時間11月4日7時
過ぎ)、アラスカ中部を震源とする浅い大地震(Ms7.9)が発生しました。
TVニュースによると高速道路に亀裂が入るなどの被害がでている模様で
す。USGSによる速報震源は次の通りです。

     発生時刻           震央         深さ  Ms
 11/03 22:12:41 (JT)    63.74°N  147.69°W   10km  7.9

●データ処理:IRISのWebデータサービスWILBER-IIから収集した広帯域
地震計記録のうち、11地点のP波上下動を用いました。波形は大変複雑
で、多重震源の様相を呈しています。初めに、点震源を仮定して、2つの
サブイベントを求めました。その結果、初期破壊付近では逆断層解が、後
続部分では横ずれ断層解が得られました。後者については、断層面を固定
してすべり分布を求めました。
(改訂)SH成分を加えました。東南東方向の破壊伝播を示唆する指向
性がより鮮明です(TUCのSHなど)。

●結果:得られた震源モデルを図1図2図3 に示します。
図1ははぎとり法によって得られた、メカニズムの異なる2つのサブイベ
ント解です。精度は良くありませんが、最初の逆断層のパラメータは次の
通りです。

走向,傾斜,すべり角  (227, 40, 99)
地震モーメント    4.6x10**19 Nm (Mw=7.0)
破壊継続時間     約16 s

図2は、主要部分である横ずれ断層についてのすべり分布です。図3は
地図上にすべり分布を表示したものです。この部分の震源パラメータは次
のとおりです。

深さ(破壊開始点)  15 km
走向,傾斜,すべり角  (294, 86, 166)
地震モーメント    7.8x10**20 Nm (Mw=7.9)
破壊継続時間     約70 s
断層面積       200km×30km
食い違い(最大)   12 m
    (平均)   4.3 m (μ=30GPa)
応力降下(平均)   4.2 MPa

●解釈その他:北米プレート内部の活断層による地震と思われます。震源
の深さと規模から見て、地震断層が現れているものと考えられます。初期
破壊(といっても、これ自体Mw7.0)のメカニズムは主破壊とは異なり、
複数の断層が連動して起こったことを物語っています。
  主破壊の横ずれ断層は西北西-東南東方向の右横ずれ、長さは200km超、
破壊伝播は西から東へ約3.0km/s、最大の食い違い12 mは、内陸活断層と
しては、超一流です。昨年のKunlun断層と同規模です。現地調査の結果が
待たれます。
                       (文責:菊地・山中)
<参考>
 今回の震源の西隣りで、10月23日にM6.7の地震がありました。
USGSの震源情報によると、
     震央(148.04W,63.62N) 震源時02/10/23 11:27:18.6(UT) M6.7
です。遠地実体波による解析結果を図4に示します。