東大震研情報センター
地震波解析(再改訂版)◆ ---------------------------
2001年11月14日チベットの地震(Ms7.9)
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●概略・特徴:14日17時26分(現地時間)チベット高原(崑崙山脈Kunlun) を震源とするMs7.9の地震がありました。震源地は標高5千mを越える山岳地帯で、 今のところ被害状況は不明です。USGSによる速報震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ Ms 01/11/14 93:26:10.2(UT) 36.01°N 90.50°E shallow 7.9 ●データ処理:IRIS-DMCから20点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし た。かなり複雑な波形です。主破壊は1分ほど後に来ます。まず点震源を仮定して メカニズムを決め、そのあと断層面を固定して断層滑り分布を求めました。 (再改訂)震央を再決定したところ (36.01N, 91.10E) が得られました。 ●結果:図1(モデル),図2(波形比較)に結果を示します。 主な震源パラメーターは以下の通りです。 震源の深さ H0 = 17 km (走向、傾斜、すべり角)=(96, 86, 1) (左横ずれ型) 地震モーメント Mo = 6.6x10**20 Nm (Mw = 7.8) 破壊継続時間 T = 110s 断層面積 S = 360kmx30km くいちがい(断層変位) Dmax = 6.6m Dmean = Mo/μS = 2.0m 平均応力降下 Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 1.4MPa 局所応力降下 Δσm = 7.0MPa ●解釈その他:はっきりした東西の指向性が見られることから、断層の走向は東西方 向であると考えられます。ちょうど4年前、今回の震源の西方約300kmでMs7.9 の地震がありました(EICノートNo.34)。 (改訂版)破壊フロント速度vをいろいろ変えてインバージョンを行いました。最終的 に、v=3km/sが得られました。地震モーメント及び断層長が暫定版よりだいぶ大きくな り、静岡大の林さんらの調査結果と概ね調和的になりました。 震源から約200kmおよび300km付近に大きなアスペリティが求まりました。 (文責:菊地・山中)