EIC地震学ノート No.111    Nov. 15, 2001 (2nd rev. 02/07/28)

東大震研情報センター

地震波解析(再改訂版)◆ ---------------------------

  2001年11月14日チベットの地震(Ms7.9)

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●概略・特徴:14日17時26分(現地時間)チベット高原(崑崙山脈Kunlun)
を震源とするMs7.9の地震がありました。震源地は標高5千mを越える山岳地帯で、
今のところ被害状況は不明です。USGSによる速報震源は次の通りです。

  発生時刻          震央           深さ   Ms
 01/11/14 93:26:10.2(UT)    36.01°N  90.50°E  shallow  7.9

●データ処理:IRIS-DMCから20点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし
た。かなり複雑な波形です。主破壊は1分ほど後に来ます。まず点震源を仮定して
メカニズムを決め、そのあと断層面を固定して断層滑り分布を求めました。
(再改訂)震央を再決定したところ (36.01N, 91.10E) が得られました。

●結果:図1(モデル),図2(波形比較)に結果を示します。
主な震源パラメーターは以下の通りです。

 震源の深さ    H0 = 17 km
 (走向、傾斜、すべり角)=(96, 86, 1) (左横ずれ型)
 地震モーメント  Mo = 6.6x10**20 Nm  (Mw = 7.8)
  破壊継続時間    T = 110s
 断層面積        S = 360kmx30km
 くいちがい(断層変位) Dmax = 6.6m  Dmean = Mo/μS = 2.0m
       平均応力降下 Δσ = 2.5Mo/S**1.5 = 1.4MPa
       局所応力降下 Δσm = 7.0MPa

●解釈その他:はっきりした東西の指向性が見られることから、断層の走向は東西方 
向であると考えられます。ちょうど4年前、今回の震源の西方約300kmでMs7.9
の地震がありました(EICノートNo.34)。
(改訂版)破壊フロント速度vをいろいろ変えてインバージョンを行いました。最終的
に、v=3km/sが得られました。地震モーメント及び断層長が暫定版よりだいぶ大きくな
り、静岡大の林さんらの調査結果と概ね調和的になりました。
震源から約200kmおよび300km付近に大きなアスペリティが求まりました。
                              (文責:菊地・山中)