EIC地震学ノート No.105 June 24,'01(rev. Jul.12,01)
東大震研情報センター
◆地震波解析(改訂版)◆ ---------------------------
2001年6月23日ペルーの地震(Mw 8.2)
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●概略・特徴:23日午後3時33分(現地時間)ペルーのアレキパの西約200kmを 震源とする大地震が起こりました。現地では死者多数を含む大きな被害が出た模様 です。また、気象庁は日本に津波が来る可能性があるかどうか目下資料を集めて検 討中とのTV報道がありました。USGSの震源は次の通りです。 発生時刻 震央 深さ M 01/06/23 20:33:14(UT) 16.14°S 73.31°W 8km 8.4 ●データ処理:IRIS-DMCから24点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しま した。継続時間が2分ほどの複雑な波形です。後半に大きなパルスが見られます。 アスペリティ(大きな断層すべり)は震源からかなり離れたところにありそうです。 初めに、点震源を仮定してメカニズム解を求めました。北東南西圧縮の逆断層解が 得られました。次いで、低角面を断層面とみなして、断層すべりの時空間分布を求 めました。 ●結果:図1(モデル)、図2(波形)、図3(地図)に結果を示します。 主な震源パラメーターは以下の通りです。 初期破壊点 震央: 16.14°S 73.31°W 深さ H0 = 30 km (走向、傾斜、すべり角)=(309, 21, 61) 地震モーメント Mo = 2.2x10**21 Nm (Mw = 8.2) 破壊継続時間 T = 107 s 断層面積(余震分布)S = 200x100 km**2 食い違い D max = 4.5 m D mean = Mo /μS = 2.8 m (μ= 40GPa) 応力降下 Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 1.9 MPa ●解釈その他:21世紀最初のMw8を超える地震です。海洋プレート(ナスカプ レート)が陸のプレート(南米プレート)に潜り込む、プレート境界の地震と思わ れます。震源から150kmほど南にアスペリティの目玉がきます。被害も震源のかな り南側に集中していることが予想されます。今後の被害状況が気になります。 <<改訂版>> 観測点を大幅に増やしました。その結果、最適の震源の深さが浅くな り、メカニズム解も少し変わりました。モーメントがやや大きくなりましたが、時 空間分布に大きな変化はありません。 (文責:菊地・山中) <<関連ノート>> 1.余震活動と余震のメカニズム USGSによる本震後7日間の余震活動とハーバード大による本震・余震のメカニズム をまとめてみました。 2.2001年7月7日ペルー余震(Ms7.2)の震源過程 メカニズムはハーバード大学の結果を用いています。 波形の比較はこちらをご覧ください。その1 その2 (走向、傾斜、すべり角)=(315, 16, 64) 地震モーメント Mo = 2.8x10**20 Nm (Mw = 7.6) 破壊継続時間 T = 約30 s 破壊開始点の深さ H = 20 km 3.1996.11.12 Peruの地震 この地震は今回のちょうど北側で起きた地震です。 詳しくはEICノートNo.7をご覧ください。