EIC地震学ノート No.97 Jan.14, '01(rev.01/05/19)

東大震研情報センター

◆地震波解析(改訂版)◆ ---------------------------

  2001年1月13日エルサルバドルの地震(Mw7.6)

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● 概略・特徴:13日昼前(現地時間)エルサルバトルでMw7.6の大きな地震があ
り、多数の死者行方不明者が出ている模様です。USGSの震源速報は次の通りです。

  発生時刻        震央          深さ   Mw
 01/13 17:33:31(UT)     12.8°N  88.8°W   60km  7.6

●データ処理:IRIS-DMCから15点の広帯域実体波(P波上下動)記録を収集しまし
た。パルス幅が約15秒の比較的単純な波形です。初めに、点震源を仮定してメカニ
ズム解を求め、次いで、2つのP波節面のそれぞれを断層面とみなして、断層すべ
りの時空間分布を求めました。

●結果:図1に結果を示します。メカニズム解はほぼ純粋な正断層型(北東南西張力)
です。2つのP波節面のうち、北東傾斜を断層面とした場合のすべり分布を示しま
す。図の右が北西です。+印が最初の破壊点です。主な震源パラメータは次のとお
りです。

  (走向、傾斜、すべり角)=(161,31,-67)/(315,61,-103)
 地震モーメント   Mo = 3.1x10**20 Nm  (Mw = 7.6)
  破壊継続時間    T = 約14 s
 破壊開始点の深さ    H = 50 km
 断層面積           S = 50x30 km**2
 食い違い      D = Mo /μS = 3.1 m (μ= 64GPa)
                     Dmax = 4.2 m
 応力降下    Δσ = 2.5 Mo/ S**1.5 = 13 MPa

●解釈その他:応力降下は高めで、典型的なプレート内部地震の値を示します。海
洋プレート(ココスプレート)内部の正断層地震です。このところメキシコの下部
でも同様の地震が起こっています。(99/09/30 Mw7.3; 99/06/15 Mw6.8)
  行方不明者が1千名を超えるとの報道もあります。被害状況が気になります。  
                               (文責:菊地・山中)
改訂(01/05/19):北東傾斜のP波節面を断層面としました。こちらの方が波形の一致
 は若干良好です。